今朝の新聞のトップは、日本道路公団の藤井総裁解任に向けての聴聞会のニュースだ。
ブッシュ米大統領が来日し、小泉首相が15億ドル(1,650億円)もの資金をポンと拠出すると言 明したのに、このニュースは
その下段である。
民主党と合併した小沢一郎氏は、この聴聞会がこの日に設定されたことを挙げて「また、同じ 日にぶつけてきた。日米会談でいい話が出ないからだ」と皮肉っている。
小沢氏が、「また」と言っているのは、10月5日の民主・自由党の合併大会の日に、新石原国 交大臣が日曜日に敢えて藤井総裁の解任を発表したことを指している。案の定、10/6付けの 新聞では、合併大会の記事は二面に回っている。
このように、我々が報道で知る政界の裏側では、マスコミを利用したり利用されたりの現実が あるのであろう。
さて、昨日の聴聞会に話を戻すと、この藤井総裁もまたしたたかで、解任に応じない理由とし て「政治的パフォーマンスのいけにえにされている」として、今後も司法的抵抗を続けてゆく姿勢 のようだ。
ここで、藤井総裁に@nkou的公務員論を述べると、公務員の身分は法により保障されてはい るが、その雇い主は、国であれば大臣、都道府県では知事、そして市(区)町村長であり、いず れも選挙で選ばれるということである。選挙は「パフォーマンス」であることから、所詮、公務員 は「政治的パフォーマンスのいけにえ(公僕)」なのである。例え「降格」されなくとも、企業でい う窓際族のような取扱いはあるであろうし、最近週刊誌で活躍しているようなそれを忌避して、 潔く?退職した外交官の例もあり、この選挙によって民主主義が成り立っているのでもある。
事務次官から天下りした藤井総裁はもはや国家公務員ではなく、その身分は日本道路公団 法によるものであろうけれども、2,600万円と言われる再退職金と、かっては同僚であった国土 交通省職員の今後の天下りの可能性を賭けて抵抗するドンキホーテ的勇気には敬服するが、 石原国交相が言う「国民の判断」は斟酌すべきであろう。
さて新聞を読み終えて、テレビのスイッチを入れると「美術」の解説があっていて、テーマは 「ドガの作品から」であった。ドガの作品には、踊り子の絵が多いが、その一枚には舞台の蔭か ら踊り子の後ろ姿を見守る黒い服の男が描かれている。
この男は、スポンサーとして踊り子の値踏みをする当時の世相を描いているもので、このような 身分でいなければならない踊り子の哀しい暮らしを表しているのだそうである。
華やかな踊り子の姿しか見ない自分を考えると、今朝の新聞とテレビからハッとひらめいて、 結局この原稿を思い立ったのだが、表層に追われて見逃しているけれど、人間の世界には まだまだ面白いことが埋まっているようだ…
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